猫の腎臓トラブルは特に高齢猫に多く、老廃物の排泄や血圧調整、ホルモン生成など重要な役割を担います。腎障害は急性(突然の機能障害で感染や誤飲などが原因)と慢性(CKD:数か月〜数年で進行し回復が難しいもの)に分かれ、初期は健康な部分が補うため気づきにくく、進行すると多飲多尿、体重減少、食欲低下、嘔吐、口臭、元気消失、毛並みの乱れなどの症状が現れます。診断には尿検査や血液検査が用いられ、可能なら朝の尿を清潔な容器で採取して病院へ持参します。治療は腎機能を根治する薬はないものの、高血圧や貧血など合併症を抑える薬や、腎臓に配慮した療法食による管理が中心で、療法食への移行は時間をかけて少しずつ慣らすことや少量頻回の給餌、風味を良くする工夫が有用です。気になる変化があれば早めに獣医師に相談し、個々の状態に合わせたケアを受けることが大切です。
猫の腎臓病とは?原因・症状・治療法を考える
猫の腎臓に関するトラブルは、とくにシニアでよく見られます。
猫の腎臓は健康を維持するための機能を持っています。老廃物の排泄や血圧の維持、赤血球を作るためのホルモンに関わるなど多くの役割を担っています。
腎臓の機能に問題が出たり腎臓病になる原因は様々なものが考えられています。また、状況によって、急性と慢性のふたつに分けられます。
猫の急性腎臓病
急性の腎臓病だと動物病院で診断された場合、それは突然の機能障害を意味しています。何かの感染症だったり、間違えて危険なものを口にしてしまったりしたなどが考えられる例です。
回復する場合や長引いて慢性化する場合など様々ですが、いずれにしても気付いたらすぐに動物病院に連れて行くことが重要です。
猫の慢性腎臓病
英語ではChronic Kidney Diseaseという名称で、日本でも頭文字をとってCKDと呼ばれることもあります。
これは、数か月から数年かけてゆっくり進行することが知られていて、炎症や感染など様々な原因が理由にあげられます。
そして残念なことに、多くの場合で、元通りの元気な腎臓には戻らないとも言われています。
腎臓の機能が障害され始めた早期の段階では、まだダメージを受けていない健康な部分で腎臓全体の働きを担っています。病気が進行するとその健康な部分も減っていくため、機能の低下が症状として気づかれやすくなっていきます。
腎臓病と診断された猫に見られる変化
腎臓病の猫の変化を知ることで、動物病院で相談することや愛猫のお家での生活に工夫ができるかもしれません。以下のような変化がないか、進行している様子がないかを観察してみましょう。
• のどの渇きや水分が不足している様子
• おしっこの量や回数の増加
• 体重の減少
• 食欲や食べる量の低下
• 吐き気
• 口臭がある(アンモニア臭のように感じる)
• 寝ていることが多い、無気力な様子
• 毛並みの乱れ
これら以外にも、何か気付くことがあれば動物病院で相談してみてください。
動物病院での診断
動物病院で猫の腎臓病を疑って検査をする場合、獣医師から尿検査を提案されることがあるかもしれません。
尿の濃さが十分か、尿の中にタンパク質が漏れ出ていないか、その他になにか隠れた問題が無いかを知るための検査です。
また、同様に血液検査が提案されることもあるでしょう。腎臓を含む全身の健康状態や老廃物の蓄積について知るための検査です。
自宅で尿サンプルを採取する方法
もし可能であれば、朝一番の尿の採取が良いとされています。
常に清潔な飲み水を置いておき、トイレに用意する猫砂は吸水しないものを選びます。
あなたの猫がいつも通りにトイレができたのであれば、動物病院でもらった容器など清潔な容器に尿を入れましょう。
そして、採取したらできるだけ早めに動物病院に持っていきます。
慢性腎臓病のケアについて
それぞれの猫によりますが、一般的には薬を与えることや食事管理をすることが、動物病院の獣医師から提案されることがあります。
薬を飲ませる提案
腎臓病そのものを治せる薬は、現在のところまだ販売されていません。
一方で、獣医師たちは、腎臓の機能低下に関連する高血圧や貧血などを助ける薬を提案することがあります。
腎臓に配慮した食事の提案
特別なフードは、慢性腎臓病や腎臓機能の不全状態のときに助けになる可能性があります。獣医師から、あなたの猫の状況に応じた特別な栄養設計の療法食を提案されることがあるでしょう。猫に必要な栄養摂取ができて腎臓機能をサポートするのが療法食です。
この療法食が普段よりもたんぱく質量が少ないために、食べることを受け入れるまでに時間がかかる猫もいます。そのため、普段のフードから療法食に切り替えるのは少しずつ慣れてもらう必要があり、場合によっては3~4週間かけてもいいかもしれません。時間がかかることを飼い主が受け入れてみましょう。
猫の嗅覚は人間の何倍も敏感なので、あなたの猫は最初、療法食に興味を示さないこともあります。
徐々に慣れていけば、最終的には療法食を自分から食べてくれるようになるでしょう。
療法食が食べられるようになったあとは、1日のごはんの時間を頻繁にしてもいいかもしれません(少量頻回)。おやつなどの療法食以外のものを与えることを獣医師が推奨しない場合、頻回の食事が満足につながる可能性があります。
また、食欲をそそる工夫として、フードを温めてみることもおすすめです(人肌程度の温度で、熱くしないように注意して)。香りが引き立ち、ウエットフードであれば食感が柔らかくなります。
療法食への切り替えが完了するまでに2~6週間かかることもあります。猫の健康状態を考えて飼い主も工夫をするのは、価値のあることでしょう。
気になることがあれば動物病院へ
猫の腎臓に心配があったり気になることがあれば、早めに動物病院で相談することが重要です。
腎臓の状態を適切に把握し、愛猫の状態に合ったケアを獣医師に提案してもらいましょう。飼い主であるあなたと愛猫との生活の質を維持できるように工夫することは、猫が幸せで快適に過ごす助けになります。