この記事では、犬の妊娠や出産に関する重要な情報が紹介されています。まず、犬の不妊手術が健康管理において重要な役割を果たし、特に雌犬や雄犬における手術の利点について説明されています。また、犬の妊娠における兆候や妊娠期間中の栄養管理、出産準備、出産時の兆候、さらに出産後のケアについても触れられています。妊娠中の栄養は胎児の成長を助けるために必要であり、出産の際には安全な環境の準備や、母犬の健康管理が重要です。出産時の危険も挙げられ、異常を感じた際には速やかに獣医師に相談することが勧められています。
妊娠期における健康管理 | 出産・妊娠 | 犬との暮らし
妊娠・出産
犬を育てるうえで最も重要なテーマである「妊娠・出産」についてご紹介しています。
不妊手術
不妊手術は、飼い主が行うペットケアで最も重要な決断のひとつです。雌犬の場合は不妊処置(卵巣除去)、雄犬の場合は去勢と言います。
不妊手術は獣医がおこないます。手術をする場合は、愛犬が若いうちが最適です。
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不妊手術の利点
雌犬は最初の発情が来る前に不妊処置をほどこすと、乳房や卵巣の腫瘍リスクや子宮感染症のリスクが低くなることが確認されています。不妊処置した犬は一般的に性ホルモンによる影響がなくなるため、落ち着いた性格になります。攻撃的になることが少なく、通常しつけもしやすく気性も穏やかになります。雄犬を去勢すると、精巣腫瘍、前立腺肥大などの疾患のリスクを軽減できます。また、中高齢犬で多発する会陰ヘルニアの発症リスクも下げることができます。去勢された犬は、攻撃的になったり、尿で縄張りのマーキングをすることが少なくなります。去勢することによって、望まない子犬が増えることも防ぐことができます。
- 避妊・去勢による体重増加
手術後に犬の体重が増加したら、運動量を増やしたり、体重管理ができる食事をあげると、カロリー摂取量が減り、体重増加を最小限に抑えることができます。
妊娠の兆候
愛犬が妊娠していることを示す兆候はいくつかありますが、見た目にはわかりにくく、お腹が大きくなり始める安定期に入るまで気づかないこともあります。
犬の妊娠期間は約2カ月ですが、交配から約1カ月経って、獣医師の触診や検査などによって、妊娠が明らかになることもあります。
愛犬が母子ともに健康で、安心して出産に臨めるよう、定期的な獣医師の検診を受けましょう。
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妊娠の兆候(妊娠中期)
■妊娠中期
個体差はありますが、交配25-30日を過ぎた妊娠中期以降になると、腹部が大きくなり、体重が増加し始め、乳房が隆起してきます。
また、人間のつわりのように食欲がいつもより減退したり、元気がない、運動量が少なくなるなど行動に変化が表れることもあります。
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妊娠の兆候(妊娠後期)
■妊娠後期
超音波などでお腹の赤ちゃんを確認できるようになる時期です。
お腹が大きくなり、胃が圧迫されるので、一度にたくさんの食事が摂れなくなってきますが、お腹の赤ちゃんの分まで栄養が必要になるので、たくさんのエネルギーを必要とします。
そのため、この頃から少しずつ、高たん白・高カロリーの子犬用フードへと切り替え、お腹に負担をかけないよう、少量頻回の給与を心がけましょう。
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妊娠の兆候(出産直前)
■出産直前
出産の日が近づくにつれ、愛犬は営巣本能を見せ始めます。
床や寝床を引っかく、落ち着きがなくなる、神経質になっているように感じる、などの兆候が見られたら分娩が近い証拠です。
予定日の約1週間前には、動物病院で検査を受け、赤ちゃんの数や大きさ、骨盤の状態などを確認しましょう。
また、愛犬が安心して出産できるよう、清潔で静かな環境を整え、栄養価が高く、品質のよいフードを選んであげてください。
妊娠期における健康
愛犬の妊娠期における健康管理についてご紹介します。
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愛犬の食事と栄養<その1>
妊娠中は、胎児が成長するにつれ、ますます栄養価が高く、消化率に優れた食事が必要になります。また、出産後の母犬は授乳のために、通常より多くのたん白質を必要とします。もちろん、子犬の成長にとってもそれは同じです。
子犬用フードは、妊娠・授乳期の母犬と成長期の子犬の両方に必要な栄養素をバランスよく摂取することができるよう配慮されています。
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愛犬の食事と栄養<その2>
母犬には、妊娠後期を迎える約6週間頃から、子犬用フードへの切り替えを始めましょう。
フードを切り替えるときは1週間から10日ほどかけて徐々に移行するようにしてください。
妊娠の最終段階に入ると、母犬は一度に多くの量を食べることができなくなってきます。
フードは少しずつ数回に分けて与えましょう。また、必ず新鮮な水を入れた器も準備しましょう。
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ワクチン
一般的に、妊娠中の予防接種は避けた方がよいと考えられています。
ワクチン接種は妊娠前に受けておくようにし、母犬が健康な状態で交配・妊娠に臨めるよう、心配りが大切です。
母犬からの初乳の中には免疫抗体物質が含まれ、その量が子犬の免疫力や成長に影響を与えることがあるため、母犬の健康管理はとても重要です。
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出産場所の準備
出産2週間前頃になったら、母犬が安心して出産に臨めるよう、室内に、少しでも快適に出産を行えるような静かな場所を作ってあげてください。
その際には、気温や湿度にも十分配慮しましょう。
出産
出産の兆候・出産・産後のケアについてご紹介します。
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準備しておくこと
愛犬の出産は、犬にとっても飼い主にとっても一大事です。出産に備え、獣医師の緊急連絡先を用意し、予定日の数日前にはマメに連絡を取るようにしましょう。
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安心できる場所の確保
まずは、母犬が安心して出産できるよう、室内の静かで清潔な場所を確保してください。
神経質な愛犬は、目隠しになる壁などがあると安心するかもしれません。
また、出産時の排出物などで汚れてもいいように、清潔なタオルなどを多めに敷いてあげましょう。
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出産の兆候<その1>
出産が近づくと、母犬はさまざまな兆候を示します。
出産直前の12―24時間前には、母体の直腸温が平温より約1℃下がることがあるので、通常時の平温を確認しておきましょう。
犬の通常時の平温は平均38.5℃前後ですが、出産直前になると1℃低い37℃前後になることが多いようです。
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出産の兆候<その2>
この時期になると、たいてい母犬は食事を受け付けなくなり、嘔吐する場合もあります。
また、まもなく生まれて来る子犬を迎えるため、寝床を爪でひっかくなどの営巣本能を見せることがあります。
さらなる兆候として起こりうるのが陣痛で、それには波があります。陣痛により母犬が落ち着きをなくしたり、神経質になったり、動揺をしたりすることもあります。
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出産の兆候<その3>
いよいよ出産が始まるというときには、そのサインとして、局部からの分泌物があります。
分泌物は、最初は透明に近く、よく観察しているとだんだん淡緑色から濃緑色へと変化していきます。濃緑色に変わると、胎盤がはがれ、子犬がまもなく産まれることを意味します。
出産前には、必ず獣医師に相談し、愛犬の様子を報告しながら、出産をサポートしてあげてください。
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出産<その1>
個体差はありますが、子犬は約20分間隔で産まれることが多いと言われています。
しかし、中には出産中に力まない母犬もいるので、母犬の様子を見ながら、不安な点があれば必ず獣医師に報告しましょう。
子犬は通常、頭から生まれてきますが、尻尾から生まれる場合もあります。
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出産<その2>
出産時は、母犬もとても不安になるものです。人間に見られることを嫌がる母犬もいますが、見守っていても問題ないようであれば、何かあったときに手助けができるよう心積もりをしておきましょう。
出産時に母犬や子犬の異常に気がついたら、すぐに獣医師に連絡し、対処方法を確認しましょう。
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出産<その3>
出産が無事終了したら、母犬が自由に飲食できるよう、十分な量のフードと新鮮な水を用意し、少し離れて、母子が穏やかな気持ちで体力を回復できる環境をつくってあげてください。
もし、母犬が子犬の世話をする体力がない、育児を拒否するなどの行動を示した場合は、すぐに獣医師に連絡し、子犬が健やかに育つよう、ご家族でサポートしてあげることが望ましいでしょう。
出産時の危険
出産には危険が伴う場合もあります。出産前後、以下にご紹介しているような様子が見られたり、何か少しでも不安に思う点があれば、獣医師に相談しましょう。
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出産前
1. 交配から70日以上経過しても出産の兆候が見られない
2. 体温が低下してから24時間以上経過しても出産が始まらない
3. 子犬が出てこない状態で、強い陣痛が60分以上続く
4. 母犬が力めないなど、出産の途中で母犬の行動や子犬の状態に異常が見られる -
出産後
1. 発熱がある
2. 局部から分泌物が出ている
3. 痙攣がある
4. 足取りがおぼつかない
5. 胸の炎症がある
6. 乳房が硬く腫れる、赤みや痛みを伴う
7. 食欲がない
8. 落ち着きがない
9. 子犬に関心がない
10. 不安がる